May 25, 2005

『くにたち物語』

『くにたち物語』こんなときもありました…正確にはありたかった、かな? おおの藻梨以作、 『くにたち物語』。既刊は講談社漫画文庫で6巻ですが、復刊が決定しました。その昔に読んで続きが出ていないのがショックだったので、ものすごく楽しみにしています。

6巻で主人公の小学二年生から中学生までの話です。恐らくは作者の個人的な経験や思い出をエピソードにしているのでしょう。生活感や臨場感に溢れた日常の描写に加え、ときに繊細で懐かしくもある心理描写がこの作品の魅力。特に奇をてらっていない登場人物たちでも、そこに究極のローカル、隣にいる誰かのような個性的で無二の人物として感じられるはずです。自分は男子校だったのでこんな体験はしようにもできなかったのですが(笑)、読んでいる間だけは同じ年頃で、その場にいるような気持ちになれます。

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May 19, 2005

『うしおととら』

『うしおととら』再読しなくても思い出せてしまう。藤田和日郎作、『うしおととら』。

どのジャンルかと言えば妖怪退治もの。しかし妖怪の昔ながらの怖さや、淘汰される古い生き物としての悲哀、というこのジャンルのポイントは押さえながら、作者独特の感性から生まれる迫力満載のアクション、そしてキメの見事さで、他とは一線を画する作品です。最終的には怪獣大決戦のような運びになっていましたが、広げに広げきった風呂敷をきっちり?畳んでみせた点には、敬意を払われて然るべきではないでしょうか。

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May 17, 2005

『タッチ』

『タッチ』最初から織り込み済みだったらゴメンナサイ。あだち充作、『タッチ』。

冒頭の言葉のとおりです。『タッチ』を『タッチ』たらしめているのは、準主人公でありライバルだった弟の死、という(恐らく最初からは計算されていなかった)イベントと思うのです。このイベントを境に、双子の兄弟と幼なじみの女の子の三角関係というラブコメ路線から急転換。単なる熱血ではなく、弟の死が端々に影を落とすどこか切ないスポ根ものに変貌を遂げます。

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May 16, 2005

『キャッツ・アイ』

『キャッツ・アイ (第1巻)』『キャッツ・アイ (第18巻)』セクシー・ダイナマイト・ギャル……何とも時代を感じさせる第一巻の副題。北条司作、『キャッツ・アイ』。北条司の代表作と言えば『シティーハンター』ですが、こちらの方が好みと言うことで。副題のセンスだけでなく、左のように最初と最後では絵柄が驚くほど変わっています。

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April 24, 2005

『N・Yバード』

『N・Yバード』手引き書として……? 槇村さとる作、『N・Yバード』全2巻。どうも最近ミュージカルづいているようなので、勢いで。

ミュージカルマンガ、というよりダンスマンガかな? ただダンス中心であってもミュージカルを劇中劇として物語の要に据えていて、ブロードウェイ関連のウンチクの多さがツボです。そしてこちらはモノホンのダンスマンガ、『ダンシング・ゼネレーション』全2巻の続編でもあります。

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April 22, 2005

『千年女優』

『千年女優』ただまっすぐに。今敏監督、『千年女優』。この表現力があるからこそ、このシンプルな骨格でしょうか。

愚直にストーリーを追いかける人間を嘲笑うような現実と虚構の交錯。エンターテイメントよりアートを志向したかの様。しかしそんなめまぐるしい交錯の中で、どの時代、どの(劇中劇の)場面でも、主人公の初恋の人に対する気持ちが反復して提示されます。このモチーフの徹底した繰り返しによって、一途な気持ちの強さ、純粋さが伝わるでしょう。とすれば、最後の、ちょっと素面では恥ずかしいセリフも違って聞こえそうです。

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April 19, 2005

『プラネテス』

『プラネテス』DVD-BOXは出ないのでしょうか? 『プラネテス』。宇宙を舞台にしていますが、ありがちにロマンをかき立てるだけでなく、夢を追う主人公と愛を信じるヒロインを二軸に据えることで普遍性を持たせた作品。ロボットモノは苦手、という方にもとっつき易いはずです。

「夢も愛も、両方ないとダメだよ」を遠まわしに伝えるのに腐心した、としたらミもフタもないのですけれども、そんな単純な(ように見えて深遠な)ロジックを表現することがいかに難しいことか。ロマンとエゴ。平和と甘え。紙一重の差しかない各々の要素を丁寧に描き分けたこの作品は子供にはもったいない、大人向けの作品として仕上がっています。

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April 07, 2005

『未来少年コナン』

『未来少年コナン』和製キングコング? 『未来少年コナン』。あっと言う間に再放送も残りわずかとなってしまいました。

今さら昔のアニメなんて、とずっと無視していたこの作品。空いた時間に飛び込んできたのを機に見始めたら、これがすっかりはまってしまったのです。大戦後という設定の人影まばらな、それでも(それゆえに?)青い空と海の世界を、伸びやかに跳んで、駆ける主人公。幼い子供が部屋を迷路に、公園を山河に見立てて遊ぶのにも似た、豊かな想像力と身体性から生まれた自由奔放な世界。そこでは主人公は無敵で、敵味方は明瞭で、ヒロインとの絆は何よりも強い。この作品が醸し出す単なる古さを越えた懐かしさは、そんな「ごっこ遊び」の育んだ幼児体験に根ざしているように思えます。

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April 06, 2005

『カウボーイ・ビバップ』

『cowboy bebop 5.1ch DVD-BOX』つけ合わせの音楽ではなく。『cowboy bebop 5.1ch DVD-BOX』。ちなみにCD-BOXはこちら

音楽が主役のアニメーション、としたら言い過ぎかも知れませんが(笑)。動画は技術の粋を尽くし、これから二十年は余裕で保障できるクオリティ。時おり遊び心も見せながら、隅々まで行き届いた演出もあります。物語は一話完結で、泣けるシリアスから笑えるコメディ、物憂げなアンニュイからバリバリのアクション、格好良いストーリーものからまったくのナンセンスまで、幅広く飽きさせません。そんな数々の要素がすべて(各話ごとに異なるテーマの)音楽によって調和されているのが、この作品の特筆すべき点だと思います。先に音楽ありきで、そこへ向けて収束させていったような。

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April 04, 2005

『超時空要塞マクロス ~愛・おぼえていますか~』

『超時空要塞マクロス ~愛・おぼえていますか~』赤面するほどロマンチック。『超時空要塞マクロス ~愛・おぼえていますか~』。

久しぶりに見たわけですが、ものすごい密度に驚きました。テレビアニメ版を二時間に再構成したのだから当然っちゃあ当然かも知れません。しかし星間戦争から人類滅亡、復興まで描く物語を映像化、ですよ?! CG万能の今のハリウッドでもあり得ない。素直に脱帽しましょう。

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