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May 07, 2005

『交渉人』

『交渉人』交渉人が交渉人を指名した理由とは。サミュエル・L・ジャクソン、ケヴィン・スペイシー出演、『交渉人』。

身内殺しの汚名を着せられ、誰に裏切られたのか分からないまま立てこもらざるを得なくなったサミュエル(役名ではなく役者名です、念のため)と、そのサミュエルに指名され、やはり誰が敵味方か分からないまま役についたケヴィン(繰り返しですが、役者名です)。立場の別れた二人の交渉人のやり取りも見事ながら、サミュエルを抹殺しようとする警察の動きもどこまでが暴走で、どこまでが陰謀なのか、最後まで予断を許さないスリリングな展開で、目が離せないこと請け合いです。

人質の安全を最優先に犯人と対し、一方で友愛の念を示し説得を続け、他方では心理状態の変化を見極めつつ、力技で一息に解決するタイミングを窺う。コミュニケーション・スキルの表と裏を自在に操ることを求められるのが「交渉人」。この職に目をつけただけでシリーズが一本できてしまいそう。

交渉の過程で、ほめ、同情し、脅し、懐柔し、心配し、慰め、そうやって言葉で相手を切り刻んで本音を聞きだす。嘘をついてはならない。裏切ってはならない。そうして犯人にとって最も信頼のおける人間となりえながら、どこかでその信頼と裏切りを天秤にかけねばならない……何とも責任重く、緊張強いられ、罪深い職業。と同時に物語の素材として魅力的この上ありません。

そんな駆け引きのエキスパートとも言える交渉人の、相手もまた交渉人だったら? というのがこの作品の最大の趣向と言えるでしょう。

説得も奇襲も常道は通じず、嘘もハッタリも見抜かれる。となると、本音とか誠意とかしか残らないわけで。相手の本気度を探りつつ信頼を確立していく交渉人二人。「裏切る」だけでなく「信じさせる」だけでもなく、交渉人を「信じる」ことのプロとしても描いてみせたという事で、なんともこの作品に相応しいタイトルだな、と思った次第です。

ちなみに、「交渉人」ケヴィンが駄々をこねる娘との交渉に四苦八苦、という冒頭の場面がなかなかに微笑ましくて好きなのですが、テレビ版ではカットされることが多く(確かに話の本筋とは無関係なものの)残念ですね。今晩のテレビ放送ではどうなんでしょうか?


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