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May 26, 2005

『名探偵モンク』

くどいくらいがちょうどいい。BS2で放映されています。『名探偵モンク』(DVDの発売は未定のようです)。NHKの公式ページはこちら。現在は2ndシーズンが放映中。

とにかく主人公の壊れっぷりがハチャメチャで大笑いしながら見ています。ここぞ、というところで期待どおりにやってくれますから。こうして極端に誇張された症状を笑っても良いものか?……と思わないでもないですが、病気そのものではなく、誰にでもあるようなこだわりや癖をコミカルに強調表現している、と考えればなるほど、これだけの親近感の理由も確かですね。

この作品で成立しているパターンで特徴的なのは、探偵もの・推理ものを銘打っているのにそれが添え物でしかないところ。難事件が発生し、警察が困り、探偵が呼ばれて、事件を解決する、という流れこそ踏襲されていますが、そこには視聴者も共に推理するという視点がまったく欠けているのです。

今週の放送「容疑者はチンパンジー」でも、レギュラー以外の登場人物はほぼ猿と共犯者二人だけ(笑)。登場した瞬間から怪しい、とテレビの外では断言できます(警察だって他殺の線で容疑者を洗えば断言できたはずですが……そこはご愛嬌)。主人公の推理だって、やりながら発見や証拠を付加していくという(正統派から見れば恐らく)アンフェア極まりないもの。骨格だけ残したというより、むしろ体裁だけで中身は骨抜きといった方が適切でしょう。

難事件に呼ばれて行っても、現場に散乱したものを片付けたくてウズウズ。聞き込みに行っては、話を聞かずに違うものに気をとられる。犯人を追えば高いところから自力で降りられなくなったり、迷子になる。肝心な場面でこそ意を外すその手並みは、探偵もののパロディとする意図を感じざるをえません。

自身のルールが原因で、常人ではありえない状況で窮地に陥る主人公。細かい演出と合わせ、時間いっぱいに笑える場面を詰めこんでいて、もう食べられない、という気分にさせてくれます。ギブ・アップです。もちろん笑いだけでなく、亡くなった主人公の奥さん絡みの話のときなど、彼を病気になるまで追い込んでしまった深い悲しみが語られることもありますが、全体としてトーンは笑いの方向へ大きく、大きくシフト。

ああ、でも亡き奥さんへの愛情という面が、主人公の滑稽さに趣きの異なる深みを与えているともとれるし、となるとヒロイン役に対して依存はしても恋愛はしない、というのもバランスの取れた配慮……なにもコメディ一色にするためではなくて。滑稽な言動の裏に憂いを湛えた、とすると格好良すぎでもっと情けない位置づけになりますけど、様々な矛盾を(やや極端な形で)体現して見せるこの主人公こそ、はまってしまう一番の魅力なんでしょうね。


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