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May 02, 2005

『ビッグ』

『ビッグ』この作品でトムもビッグに? ペニー・マーシャル監督、トム・ハンクス主演、『ビッグ』。トム・ハンクスにとって『スプラッシュ』に続いての映画二作目、そしてアカデミー主演男優賞にノミネートされた作品。

つかの間、大人の世界を垣間見る少年の物語を下地に、彼の親友や恋人からの視点が丁寧に重ねられ、情感に溢れながら調和のとれた素晴らしい作品です。

突然オトナになってしまった主人公に対し、変わらぬ友情を与え続ける親友の描写もそうですが、監督が女性だからでしょうか、失踪した子供を心配する母親、そして少年の心を失わない(もちろん中身は正真正銘の少年です)主人公に惹かれていく恋人、女性二人の描写が特に見事。ハッピーエンドか、それともその逆とも言えるのか。多角的な視点がラストシーンに深い余韻を生み出し、観客へ登場人物の一人ひとりに思いを馳せる一時を与えるはず。

主人公がオトナの国に迷い込み、困惑や失敗を繰り返しながら、ひょんなことからおもちゃ会社に就職。子供の視点を生かしてヒット商品を次々開発、という軸は小気味良いものです。テンポ良く、常にユーモアを忘れず、そんなに上手くいくか?なんて疑問を差し挟む余地を与えません。しかしそれをまんまハッピーエンドにつなげてしまえば、ありきたりなサクセス・ストーリーと何ら変わるところのない作品だったでしょう。

サクセス・ストーリー自体は巷に溢れ、友情、母親の愛情、別れを運命づけられた恋人たち、といった要素も見慣れたもの。子供が突然に大人に、というアイデアすら、かつてない、というほどのものではないでしょう。そういう意味では世の中、本当に史上初と言えるアイデアなんて存在しない、常に誰かが誰かのアイデアを再発見したり、借用しているだけ、ということにすら考え及びます。

しかしそんな中でも、面白い作品は面白いのが事実。結局のところ、目新しいアイデアかどうかではなく、どうアイデアを組み合わせ、どうきっちり見せるか。そうすることでややもすると凡庸なアイデアから、無限の可能性、観客の心動かす何かが生まれることを、この映画は教えてくれる気がします。


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