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May 13, 2005

『エッジ・オブ・アメリカ』

女子バスケットボールを題材にしたスポーツものが珍しかったから、という理由で観たのですが。クリス・エア監督、ジェームズ・マクダニエル、デランナ・ステューディ、ジェラルディン・キームズ、イレーヌ・ベダード、ウェス・ステュディ出演、『エッジ・オブ・アメリカ』、2003年・アメリカ。昨日の夜、衛星第二放送で放映。

ユタ州の先住民族居住地域の高校に赴任したアフリカ系アメリカ人が、女子バスケットボール部のコーチとなって、チームを全国大会へ導く……としたらあまりに表面的なあらすじ。このスジは実話をもとにしたらしいので外せないところですが、きちんとテーマも掘り下げられていて、ラストでは少しジーンとしてしまいました。

弱小チームのサクセスストーリーという軸だけなら、少々当たり前に過ぎて退屈。しかし、厳しい練習、築き上げられる信頼、華やかな勝利というサイクルを最少に、イメージ映像のような先住民族居住地域の生活や文化が断片的に挟み込まれています。サブリミナル効果ではもちろんありませんが、単純な雰囲気づくりだとしたら少々くどくも思える小さな場面の積み重ねが、作品にありきたりではない深みを与えているのは確かです。

弱者は二重の枷に縛られています。周囲が与えるものと、自身が与えるものと。

試合をする女子バスケ部を初めて見たとき主人公が感じる倦怠感と不活性は、そのまま初めての授業のときに教室を覆っていて、さらには先住民族居住地域全体を覆っているようにも見えます。負け癖の抜けない……というよりそれを前提として受け止めている女子バスケ部は、そのまま彼らの社会の縮図のように表現されています。

主人公自身もアフリカ系黒人として、マイノリティの孤独を知り、それと戦ってきた背景があります。だからこそ、「黒人を見たのは初めて」と言われてしまう主人公が、部の負け癖を粉砕し、周囲の人々をも高揚させていく過程に付加価値が生まれるのでしょう。

あえて言うならばこの物語は、同じアメリカの片隅に属してきたアフリカ系黒人の主人公とインディアンの社会が二重の枷を破り、バスケを通じてひとつになる物語。

こういう良作に出会うことがあるから、マイナーな映画の鑑賞は止められません。


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