« 1000を突破 | Main | 禁煙志願 »

May 19, 2005

『うしおととら』

『うしおととら』再読しなくても思い出せてしまう。藤田和日郎作、『うしおととら』。

どのジャンルかと言えば妖怪退治もの。しかし妖怪の昔ながらの怖さや、淘汰される古い生き物としての悲哀、というこのジャンルのポイントは押さえながら、作者独特の感性から生まれる迫力満載のアクション、そしてキメの見事さで、他とは一線を画する作品です。最終的には怪獣大決戦のような運びになっていましたが、広げに広げきった風呂敷をきっちり?畳んでみせた点には、敬意を払われて然るべきではないでしょうか。

一見して好みの分かれる絵かも知れません。最近では珍しい気がする力強い筆致。しかしそのお陰で、作者の気持ちの入りようが目に見える気もします。ここは動きを見せるところ、ここはビシッと決めるところ、というように。

特にキメの一瞬のコマ、そこでの台詞の冴えというのに鳥肌立ちます。わざわざ本を開かなくても、脳裏に焼きついているような。いまここで思い出したのは「座敷わらし」や「なまはげ」のキメの場面ですが、きっと寝る前にはもっと思い出して、あれを挙げるべきだった!と後悔しているでしょう(笑)。

「カマイタチ」や「サトリ」も、不覚を取って目頭を熱くさせられた話です。たぶんフツウの作者さんなら、もっとキレイにまとめる話の気もしますが、けっこう血生臭さ漂う雰囲気ですよね……この二話に限ったことでもないですけど。

傷一つなく、汚れ一つないところを描くのではないのですね。懸命すぎて滑稽になったり醜悪になったり、あるいは偏ってどうしようもなく歪んでしまった想いに生まれる一瞬。その境界の一瞬を捕らえ、コマという形にし、セリフという言葉にする感性が素晴らしいと思います。

これをまんま動画にしてもニュアンスが少し変わってしまうでしょう。そう考えると、マンガの特性の少なくとも一面を非常に上手く引き出している、とも言えそうです。


« 1000を突破 | Main | 禁煙志願 »

Comments

With the use of this tool, unlocking unique levels of the game is simple and will not provide you with the difficulty of earning elixir, coins and gems manually.

Post a comment

(Not displayed with comment.)

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/81159/4197797

Listed below are links to weblogs that reference 『うしおととら』:

« 1000を突破 | Main | 禁煙志願 »