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April 15, 2005

『ヴァーチャル・ガール』

4150110794表紙で買いました(赤面)。エイミー・トムスン著、田中一江訳、『ヴァーチャル・ガール』。

人工知能が違法とされた近未来世界で、人間そっくりの体と人工知能を備えて誕生した主人公の、その成長を描いた作品。しかし、主人公自身に関するいかにもSF的「ヴァーチャル」な描写がある一方で、ホームレスら社会の底辺に生きる人々の生々しい生活に関する「リアル」な描写も手を抜いていません。ロボットと人間、無垢と汚れ、思いやりとエゴ。そんな「ヴァーチャル」と「リアル」の対比が、この作品に奥行きを与えています。

主人公が主体的な生き方を選択する過程や、倫理プログラムと自己保存プログラムの葛藤と統合など、人工知能という存在の独自性、言い換えれば異質性よりも、人間自身の成長との同質性を強調してしまうあたり成長物語の? 限界を見る気もします。とは言え、そんなことを考えるのは読み終わってしばらくしてからなんですけれども。読後感は素直に心地よいものです。

そんなことを考えたのは同じエイミー・トムスンの『緑の少女』を読んだから。異星人の社会に投げ込まれた生物学者のサバイバルを描いています。人間と異星人の両サイドから異なる文化や倫理観の邂逅を描いたこの作品は、登場人物と共に読者も異質性と直面させるという意味で、今作よりもSFな作品と言えるでしょう。『緑の少女』を視野に入れると、この『ヴァーチャル・ガール』は成長物語としてより、無垢な魂による人間ウォッチング、として読むのがある意味、適当な気がします。


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