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April 03, 2005

『アビエイター』

試写会逃して自腹で鑑賞。マーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ主演、『アビエイター』。以前に紹介した通り、キャサリン・ヘップバーン役のケイト・ブランシェットがアカデミー助演女優賞を獲りましたね。

多くの作品紹介で「夢とロマン」という言葉で形容していますが、それを期待して観に行くとがっくり。そして作った側もそれを意図していない印象を受けました。物語の軸は三つ。実在した富豪ハワード・ヒューズの女性関係と映画製作、航空会社の経営ですが、どれもが一時的に成功はしても、他人から理解されることはありません。カタルシスがない、というのは観客側の意見でしょうが、製作者側がそれを意図したのだとすれば、宣伝の華々しい言葉は集客用のブラフ(はったり)にも取れてしまいます。

湯水のように金を注ぎ込んで成功していく陰で進行する、病的な執着心や潔癖症。主人公自身それを自覚していて、どこまで行っても自分が異端であり、孤独であることを恐れてもいる(そんな彼について行かざるを得なかった部下の方々に同情します)。物語は主人公のそんな病的な孤独っぷりを執拗に描いています。

そんな乗り切れない物語の中で、キャサリン・ヘップバーンとのロマンスのエピソードはひとときの安らぎです。彼女自身、成功した女優でありながら異端であり孤独であり、主人公を理解し得たから。もっともその理解が幸せにつながるとは限らなかったのですが(その孤独を理解しながら彼の元を離れていく演技は、助演女優賞に相応しいものと思います)。

映画(虚構)と空を飛ぶことが逃避の寓意とするなら、彼は一体なにから逃げようとしていたのか。物語の最後の場面がそれを象徴しているのかも知れません。ぶっちゃけ夢とロマンを金で追い求めた勝者の物語ではなく、自己嫌悪から逃げようとしてできなかった敗者の物語かな、と。そんな感想を持った次第です。


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