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March 15, 2005

『手話の世界へ サックス・コレクション』

『手話の世界へ サックス・コレクション』朝日新聞朝刊に「手話も左脳で理解 日本語と同じ、実験で明らかに」という記事を見つけて思い出しました。オリバー・サックス著、 佐野正信訳『手話の世界へ サックス・コレクション』。

記事には「手話は意思疎通の単なる手段のひとつではなく、日本語や英語と同様の高度な言語かどうか、長年議論になっていた問題に、一つの答えを出したことになる」とあります。もちろん門外漢なので、対立する陣営のそれぞれにどのような論拠があり、どのような論争があったのかは知りません。とは言え『手話の世界へ』を読むと、答えを導いた件の実験結果も、今さらという感想を持ちました。

『手話の世界へ』には、手話が単なるハンドサインではなく立派な言語だ、ということが書かれているのですが、必ずしも「日本語や英語と同様」とは書かれていません。むしろそれらとは異なる種類の、異なる可能性を秘めた言語だと示しています。それは言語がコミュニケーションの道具であるだけでなく、思考の道具でもあると考えれば納得できます(反面、手話以前のろう教育の恐ろしさにもつながるのですが)。手話を「四次元の言語」とする研究が紹介されていますので、詳しくは本書をお読みください(笑)。

手話の持つ潜在的な可能性について非常に興奮させると同時に、サックスならではの生き生きとした描写で、知ることのなかったろう者の生活や文化の一面を教えてくれます。手話を勉強したいという人だけでなく、(むしろ)言語学や認知学に関心のある人にお勧めかもしれません。


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