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March 28, 2005

『時の彼方の王冠』

『時の彼方の王冠』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ著、三辺律子訳、『時の彼方の王冠』。『詩人(うたびと)たちの旅』、『聖なる島々へ』、『呪文の織り手』と続いたデイルマーク王国史四部作の完結編です。

魔法使いハウルと火の悪魔―ハウルの動く城』を映画化すると聞いたときには耳を疑ったもの。よく言えば奇想天外、わるく言えば支離滅裂。あのダイアナ・ウィン・ジョーンズをどうやって、と。結果、映画は映画でよかったのですが、やはり文字で読んだときのインパクトは失われていたと思います。思いつく限りに広げたようなプロットを、えいやっと一息で大団円に持ち込む力技は、最初に読んだときは目眩するほどの破壊力。中毒性アリの、そんな持ち味は映像化不可能でしたね。

そんなダイアナ・ウィン・ジョーンズのデイルマーク王国史四部作。読み始めは、あれあれ、というほどの大人しさで正直心配に。四部すべてを読み終えての感想は、手がこんでいるな、というもの。一部から三部までの伏線を確かに四部目に持ってきているのですが……ちょっと期待していたのと違うかな、と。またそういう面を発見できたのは良いにしても。

時間や時代を軽々と越えるところ、神さまと魔法と機械をひとまとめに扱えてしまう自由奔放なところ、常人なら破綻するくらい複雑な人間関係を小気味良く捌いていくところなど、らしさは存分に発揮されていたにしても、何となく薄められている気持ちがするのは、強いて言えば四部構成に分けられているせいでしょうか? 中毒患者としては誤魔化されたような、欲求不満が残るのでした。


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